U 石油製品と品質など |
Q1 ハイオクとレギュラーの違い
A1 ガソリンはオクタン価の違いにより、レギュラーガソリンとハイオクガソリンとに
分けられます。オクタン価とは走行中のノッキング現象を起こしにくくする(アンチ
ノック性)ことを示す指数で、数値が大きいほど、アンチノック性が高くなります。
レギュラーは89.0以上、ハイオクは96.0以上のオクタン価規格となっていますが、
通常、SSで販売されるハイオクガソリンのオクタン価は100。
オクタン価を向上させるためにかつては鉛やMTBE(メチル・ターシャリー・ブチル・
エーテル)を使っていたところもありましたが、我が国は世界に先駆けて無鉛化を
実現し、2001年9月からはMTBEも使用しなくなりました。
なお、過去4年間のハイオクレシオ(ハイオク販売比率)は以下のとおり。
平成9年度 20.6% 平成10年度 20.7%
平成11年度 20.4% 平成12年度 19.8%
Q2 品質管理について
A2 1996年(平成8年)3月末での「特定石油製品輸入暫定措置法」(特石法)廃止に
伴い、世界的にも高水準の我が国石油製品の品質を維持するため、従来の
「揮発油販売業法」が「揮発油等の品質の確保等に関する法律」(品質確保法)に
改正されました。
品質確保法は、国民生活との関連が高い揮発油、軽油、灯油について、適正な
品質なものを安定的に供給するため環境面、安全面等から品質規格を定め、
販売業者等がこれらの規格に適合しないものを消費者に販売することを禁止し、
併せて規格に適合することを自ら確認(自己分析義務=給油所では揮発油のみ)
しなければならないなどとする消費者の利益の保護を目的とした法律。
品質規格には、必ず適合していなければならない強制規格として、揮発油8項目、
軽油3項目、灯油3項目がある。またこの他に標準規格が定められています。
販売業者等の自己分析義務については、その負担を軽減するため品質確保法で
経済産業大臣が指定する指定分析機関に分析を委託できることとなっています。
石油協会は、その指定分析機関に指定されており、販売業者等からの分析委託を
受けて「分析受託事業」を実施しています。
また、一方で、石油協会では、粗悪品の販売禁止をサポートするため、全国の
給油所から揮発油、軽油、灯油を無作為に試買し、品質確保法に定める品質基準に
適合しているか否かの「試買分析」を行っています。
なお、石油協会の指定制度については、国の規制改革推進3ヵ年計画(2002年
(平成14年3月29日)閣議決定)において、国の関与を最小限とし、事業者の
自己確認・自主保安を基本とする制度に移行することを基本原則とする、旨示されて
おり、この方針により、今後、受託分析業務の「指定制度」は法令等に明示された
一定の要件を備えた者による「登録制度」へと変更することとなります。
実施は原則として2003年度(平成15年度)中とされています。
Q3 SQマークとは
A3 1996年(平成8年)4月に施行された品質確保法では、強制規格に加え、
例えばガソリンのオクタン価や軽油の流動点等、標準的な品質基準を定めており、
レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油、灯油を対象に、こうした性能を含めた
一定の品質を満たす標準的な製品について「標準品質表示制度」
(SQ(=Standard Quality)マーク制度)を導入しました。
標準品質とは基本的にJIS規格に準拠したものとなっています。
給油所でこのSQマークを揚げるかどうかは自由であるが、標準品質を満たさない
製品を販売する場合にはこのマークを揚げてはならないと定められ、違反した場合
には表示是正の指示や業者名公表などの措置が採られることとなる。
Q4 アルコール系自動車燃料とは
A4 アルコールを主成分とする自動車燃料で、現在のガソリン税の対象にはならず
税金分が安くなる商品として登場しました。
拠点数は2002年(平成14年)3月末現在では全国に293ヶ所となっています。
「ガイアックス」「エピオン」「イクシオン」等の商品名で販売されています。
軽油引取税が課税されることとなっていますが(地方税法の規定により、
アルコール系燃料も燃料炭化水素油に該当し、軽油引取税が課税される。)、
現実には納税しない者や滞納する者も多く、自治体により強制執行を受けた
取り扱い業者もあります。
全石連としては、税制改正要望の中でも、ガソリン車の燃料として使用されて
いるのならば税の公平性からも当然ガソリン税を課すべきと要望しています。
環境にやさしいことを謳い文句に販売しているが、環境省が2001年(平成13年)
3月に公表した結果によると、「窒素酸化物(NOx)はガソリンよりも多く、環境保全
効果は期待できない」としています。
また、自動車工業会は、同燃料を使用したことによると思われる火災を含めた
車の不具合が発生したことから、ガソリン以外の燃料を使用しないこと、また
使用した際には保証の対象外であることを公表。
安全性について詳細な調査を行うため、2001年(平成13年)9月、経済産業省と
国土交通省による安全性調査委員会が設置されました。
Q5 コージェネレーションとは
A5 灯油やA重油等を燃料として、電気と熱を同時に作り、それぞれを利用することで
エネルギーの利用効率を向上させるシステムを「石油コージェネレーションシステム」
と呼びます。
燃料をエンジンで燃焼させ、発電機で電気を作ると同時に排熱を回収して、冷暖房や
給湯に利用する仕組みで、主に大型ビルやデパート、病院、ホテル、工場等で
用いられています。
従来システムと比較し、エネルギー利用効率は52%から75%に向上する。
また、CO2も30%以上減少します。2000年(平成12年)の都市ガスやLPGを含めた
コージェネレーションシステム全体での導入状況は、548万kW、そのうち石油は
267万kW(48.6%)を占める。
石油連盟では、国のコージェネレーションシステム全体の導入見通し1,002万kWの
50%にあたる500万kWを石油の導入目標として設定しており、この目標が達成され
ると、年間137万klの石油消費量の削減になるとしています。
Q6 KHPとは
A6 KHPとは、ケロシン(灯油)ヒートポンプエアコンの略称で、灯油を燃料にして
ディーゼルエンジンコンプレッサーをまわし冷暖房を行うエアコン装置をいいます。
エネルギー効率が良く、オゾン層を破壊しない冷媒(HFC−134a)を使用するなど
地球環境にも配慮したものとなっています。
コストパフォーマンスに優れ、ランニングコストにおいてはGHP(ガス式)の約2/3、
EHP(電気式)の約1/2、電力消費量ではEHPの約1/10となります。
石油販売業者がKHPを扱うことにより、機器販売による収入以外にも、
灯油・潤滑油の拡販が見込め、特に夏場を含めた灯油販売が可能となることから、
自社ローリーの稼働率の向上にも寄与することとなります。
全石連でも灯油エアコン推進協議会を設置し、石油連盟や機器メーカーとの協力の
もとに、各地で説明会を行うなどして本システムの普及推進に努めています。
なお、(財)石油産業活性化センターでは、本システムの設置について、設置費用の
一部を補助する制度を設けています。
Q7 PL法と石油について
A7 PL(Product Liability)法とは、正式名称を製造物責任法といい、1995年(平成7年)
施行されました。
消費者保護を目的とする法律で、製品の欠陥によって生命、身体、または財産に
損害を被ったことを証明した場合に、被害者は「製造業者」等に対して損害賠償を
求めることができる法律。
対象となるものは、「製造または加工された動産」であり、ガソリン等の石油製品も
対象となります。
石油製品の場合、製造物責任を負うのは原則として製造業者である「精製・元売会社」
となりますが、特約店や販売店段階でも、以下のような行為を行い事故になった
場合は、責任を負うこととなる。
@A油とB油を混和しC油として販売した場合。
AD油に添加剤を混合させてE油として販売した場合。
B正常なガソリンに粗悪ガソリンを混合し販売した場合。
また、特約店や販売店段階で、@からBに該当しないからといって安心すべきでは
ありません。
特約店や販売店にはPL法が適用されなくても、売り主として安全な製品を売る
義務等、民法により定められています。
Q8 灯油の経済性について
A8 一般的に石油は、用途多様性、輸送・貯蔵の容易性などの面で優れたエネルギーと
いわれています。
暖房用として家庭で消費されるエネルギーを平均的な消費量をベースとして試算した
燃費比較をすると、1,000kcalの熱量を得るために必要なコストでは、灯油が5円、
都市ガス14円、電気28円と灯油の優位性が発揮されます。
(全国8地区(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)の
2002年(平成12年)1〜3月の価格をもとに石油情報センターにて試算した結果)
Q9 我が国の石油製品需要の変化について
A9 我が国の石油製品(燃料油)の需要は、1995年度(平成7年度)までは増加傾向で
推移していましたが、96年度(平成8年度)からは景気低迷や電力需要の減少等の
理由から、減少傾向となっています。
2001年度の石油製品需要は、合計約2億3,610万kl(うちガソリン約5,880万kl、
灯油約2,850万kl、軽油約4,090万kl)
需要構造の変化により、ガソリン等の需要が増加する一方で重油等の需要が減少
する、いわゆる「軽質化」が進んでいます。
ちなみに1980年度(昭和55年度)の燃料油合計の需要に占めるガソリン・ナフサ、
B・C重油の構成比は29.1%、37.9%でしたが、2001年度(平成13年度)には
それぞれ44.4%、11.7%と変化しています。
需要の軽質化に対応するため、精製・元売会社では、重質油留分を触媒を利用して
分解し、より多くの軽質油を得る「接触分解装置」等の二次装置を導入し対応して
います。
ちなみに各石油製品の得率(製品生産量÷原油処理量)は、1973年度
(昭和48年度)はガソリン10.7%、ナフサ12.2%、B・C重油44.5%でしたが、
2002年(平成14年)4月には、ガソリン24.7%、ナフサ8.7%、B・C重油
12.5%と変化しています。
Q10 我が国の石油消費量について
A10 2000年度(平成12年度)の我が国の一次エネルギー総供給量は、原油換算
6.04億kl、対前年度比1.8%増となりました。
その中で石油依存度は、石炭・LNG等の増加により51.8%と前年度より
0.2ポイント低下しました。
2001年(平成13年)7月の経済産業省における長期エネルギー需給見通しに
よれば、2010年度(平成22年度)のエネルギー別構成比(目標ケース)は、
石油45%程度、石炭19%程度、原子力15%程度、天然ガス14%程度と
なっていますが、石油は、経済性、利便性、備蓄の容易性等から21世紀に
おいても一次エネルギー供給の中心的役割を担っていくことに変わりないと
考えられています。
2000年度(平成12年度)における我が国の石油消費量は552万バレル/日。
前年度比約1.7%減。世界の中で7.5%を占めています。